ガレリア・プロバ

ガレリア・プロバ La Gazzetta 創刊準備号




新作・推薦作コーナー

ヤマガタ・ヒロミチ「クラブバハマ」
ヤマガタ・ヒロミチ「クラブバハマ」カタログ・レゾネ(画集)付

ヤマガタ・ヒロミチの新作シルクスクリーン、“クラブバハマ”が3月発売になりました。
この作品は、待ちに待ったヤマガタのカタログ・レゾネのデラックス版とセットで発売になったものですが、ヤマガタ・ファンの皆様のご希望もあり、カタログ・レゾネの完成より一足先に“クラブバハマ”をご紹介したものです。

“クラブ・バハマ”では、ほどよく気持ちの良い雨の中で花々が街角に鮮やかに映え、色とりどりの雨傘を持った人々の楽しい話し声がガラス窓の向こうから聞こえてきそうな、そんなヤマガタらしい楽しい作品です。

また、35㎝×47㎝というサイズはヤマガタのシルクスクリーンとしてはかなり小振りなので、飾りやすく、気軽に楽しめる作品でもあります。

また、カタログ・レゾネの方は4月発売ですが、これには1978年から1989年に描かれた彼の作品90点以上が収録され、デラックス版は“クラブ・バハマ”と同エディションのヤマガタのハンドサイン入りの限定版です。
これは、彼の11年間の創作活動の歴史を知る最高の一冊です。
お問い合わせは、プロバ本店またはセンチュリー店までどうぞ。

ヤマガタ・ヒロミチ「カタログ・レゾネ(画集)」
ヤマガタ・ヒロミチ「カタログ・レゾネ」

にっけいあーと4月号特集『版画狂騒曲』に物申す


身近で価格も手ごろな美術品として版画が脚光を浴びている。
だが、果たしてそれは“玄人”コレクターが支えているのだろうか。
ブームに乗って大量に登場したのは国内人気のエスタンプ(複製版画)と海外の“アイドル人気作家群”。
市場をリードするこれら“似非(エセ)オリジナル”がまかり通る裏には、素人コレクターの無知にあぐらをかいた版元、ディーラーの安易な量産姿勢がありはしないか。

この文章は日経BP社発行「にっけいあーと」4月号P.7より引用したものです。
この上には「あなたの“版画度”チェック」として20点の作品の写真が掲載されており、「このうち何人の作家がわかるでしょうか。解答用紙によってあなたの”エスタンプ汚染度”がわかります。」とあります。

この20名とはマルジス、アイズピリ、シャロワ、デペルト、カトラン、東山魁夷、ギヤマン、カシニョール、アステックス、杉山寧、ビュッフェ、ジャンセン、加山又造、梅原龍三郎、ザン・フォン・ビン、平山郁夫、ブラジリエ、ヤマガタ・ヒロミチ、上村松篁、丁紹光。
ここではプロバの扱っているヤマガタ・ヒロミチと丁紹光の版画に関してのみ少々モノ言わせて下さい。
ただ売れ始めたアーティストの作品を仕入れ右から左へ流す機能を果たしている画商と、確固たる信念を持って経営してきたプロバは全く違うということを御理解頂きたいからです。

一番気になるのは『アイドル人気作家群』という言葉です。
確かにある面では彼らに対する世の中の反応をうまく表現しているかもしれません。
ただ問題なのはこの言葉に呼応している『素人コレクターの無知にあぐらをかいた版元、作家、ディーラーの安易な量産姿勢がありはしないか』という部分です。

確かに、作品に不当に高い値段をつけるような悪質な業者も存在します。
その対策という意味でも、プロバにおいてはアーティストとその作品・マーケットに関する十分なインフォメーションを提供しています。
そのため当ギャラリーの個人顧客層に限っていえば『無知なコレクター』などは存在し得ないし、むしろ『新しい美術愛好家』と呼ぶにふさわしいと思っています。

社会的に重要なポジションに立って活躍していながら、今までアートには縁遠かった方々がヤマガタ、ティンといった強烈な個性をもち且つ最大公約数に愛されるアートにめぐりあい家庭やオフィスに持ち帰る、こんな本当に自然な流れで始まったコレクションに対し、売り絵だの無知だのということは少し的外れではないでしょうか。

ヤマガタもティンも、今でこそ多くのファンを持っていますが、最初は全くの無名であり、プロバはかなりのリスクを背負っていました。
「ブームに乗る」というよりも、その逆の状況であったという方が近いかもしれません。

つまり、アートを崇拝するのではなく、もっと身近に親しんでいる人々、アートに対して、より進化した人々が少しずつ増え始めていたのです。

ヤマガタやティンがもはや無名でなくなった今、初めていろいろな問題も起きてきました。
支持する人がいる一方で、非難する人もいます。
そういう状態こそ、正常なのです。
引用部分にもあるように、アートの世界でこれだけ版画が脚光を浴びたことはかつてありません。
今、こうして物議をかもしているということは、新しいことを世の中が受け入れる前の、一種の洗礼といえるかもしれません。

ただ、「美術館に収蔵されていない」とか「オークションにあがらない」といった理由でアーティストや作品の価値を決めるのは愚かであるし、今これらのアーティストに何らかの判断を下すのも、まだ性急すぎるという気がします。

いずれにせよ、こうした論議よりも、その作品を楽しめる感性を持っていることの方が、何倍も大切であるし、そういう外側の定義に頼らない本当のコレクターの方々が、アーティストを支えているのです。




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このページは、1989年4月28日にガレリア・プロバから発行された「La Gazzetta 創刊準備号」の内容を掲載したものです。


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