ガレリア・プロバ

ガレリア・プロバ1990年1月発行「La Gazzetta vol.3」

19世紀後半のパリ。
そこにはルネッサンスの伝統を受け継ぐ古典主義の影響下で、自分の眼、自分の視覚体験に忠実であろうとする一群の画家がいました。
マネ、モネ、コロー、ルノワール。

のちに印象派の巨匠と呼ばれる彼らは、遠近法や明暗画法にとらわれることなく、自然の「美」や「真」を追い求めていました。
彼らはまず、賦彩や筆遣いの面で、当時としては斬新な境地を切り開きました。

一般には外光派と呼ばれましたが、戸外の自然光の下で、純粋な色を小さなタッチで重ね、見る人の眼に、にごりのない明るい色彩効果を生み出したのです。

今日、美術の研究家達は、そこに当時ヨーロッパへ怒涛のように流れ込んだ浮世絵など、あのジャポニスムの影響を見ていますが、リャドはこうした技法をすべて、歴史を遡って我がものとしてしまったのでしょう。

J.トレンツ・リャド「ショーンブルンの睡蓮」
ショーンブルンの睡蓮<油彩>1989年

例えば「ジヴェルニーの橋」、この作品は、ちょっとモネのジヴェルニーの橋を連想させます。
北斎や広重など、浮世絵にインスピレーションを受けたモネは、1892年、このジヴェルニーに屋敷を買い求めると、部屋の壁は浮世絵で飾り、池には睡蓮を放ち、太鼓橋を掛け、その向こうには枝垂れ柳まで植えたといわれます。
そうしてこの橋を描いた名作が何点も生まれました。

さて、リャドのこの作品。
絵の中心部は写実の様相を呈しますが、周辺部は思い切って抽象化し、全体を明るいのびやかなトーンでまとめています。


J.トレンツ・リャド「ジヴェルニーの橋」
ジヴェルニーの橋<油彩>1989年


J.トレンツ・リャド「ヴィラヴェルディの樹」 J.トレンツ・リャド「ジヴェルニーモネの家」 J.トレンツ・リャド「サンタアガタの湖」

左から、ヴィラヴェルディの樹<油彩>1989年
ジヴェルニーモネの家<油彩>1989年
サンタアガタの湖<油彩>1989年


<<スペインの天才J.トレンツ・リャド2    マジョルカ島の幻想2 >> 
1 2 3 4 5 6 7 8 9 
このページは1990年1月26日にガレリア・プロバから発行された「La Gazzetta vol.3」の内容を掲載したものです。


© PROVA. All Rights Reserved. 本ウエブサイトの画像・文章は著作権・肖像権により保護されています。運営者の許可なく画像・文章を使用することはお断りいたします。