ガレリア・プロバ

ガレリア・プロバ1990年1月発行「La Gazzetta vol.3」

ヒロ・ヤマガタのブロンズからは
究極の人間賛歌が響いてくる。

ヒロ・ヤマガタ

ヒロ・ヤマガタの絵は、見る人をまず、絢爛たる色彩で圧倒し、魅了します。
青、赤、緑、ピンク、イエロー・・・
それはよく見ると、パリの懐かしい街角であったりするわけですが、その奥には心の喜びを色に爆発させたヒロの芸術性がひそんでいます。

ヒロ・ヤマガタ
ヒロ・ヤマガタ「コンダクター」ブロンズ

だがチョット待った!です。
ヒロの絵は実にたくさんの色、そう、「花火」や「バブル」のように、作品によっては160色、190色もの色が息づいています。
しかし、その色数と同様、実に多くの愛すべき人間達がいるのも見逃せません。

ヒロ・ヤマガタ
ヒロ・ヤマガタ「ドリーマー」ブロンズ

ヒロの絵の主人公達は、あの古き良き巴里の屋根の下の住人。 そしてピューリタンの精神をもつ陽気なアメリカン達。
その人間くさい人間が、そのままブロンズ像になったのです。 お手許にヒロの絵があったら、ぜひ拡大鏡でのぞいてください。


男たちは幅広のネクタイ、ズボン吊り姿で下っ腹を突き出しています。女達は大きなお尻とオッパイを振り立て、まだまだ私だって・・・とばかりに、賑やかに、可笑しく、そしてある種のペーソスをただよわせて存在しています。
ヒロ・ヤマガタ

ヒロ・ヤマガタ「こそ泥」ブロンズ

職業だってじつに様々。ピエロがいると思えば、踊り子も楽隊もいる。猫に驚くコソ泥もいる。あの一世を風靡したギャングのボス、アル・カポネもいる。 しかし、絵の中ではヒロの歌う人間賛歌も、ちょっとした態度や仕草でしか見ることが出来ません。
この絵の中の住人の表情・・・たとえば喜び、悲しみ、怒り、嫉妬、憧憬などが、もっとリアルに見れたら・・・。
ヒロ・ヤマガタ
ヒロ・ヤマガタ「春風」ブロンズ

ヒロは自分に妥協しない作家です。彼は、絵の住人をブロンズにする時、じつに誠実な仕事をしました。
個展の為に、なんと20000点ものミニチュアをセラミックで作ったのです。ヒロは近年「これからはもっと細かく、人間に、人間関係に眼をそそいでいきたい」といっていますが、実際に、そのブロンズを一点、、一点入念にアクリル・ペイントで彩色しました。

ヒロ・ヤマガタ
ヒロ・ヤマガタ「ビッグ・ボス」ブロンズ


ヒロにとっては、太っちょのおばさんも、パン屋のおじさんも、みんな自分の愛する隣人なのでしょう。
銀色のイスパノ・スイザに泥水をはねかけられても怒らず、花売り馬車がくれば、いそいそと道をゆずり、シネマの撮影隊には喜んで手を叩く善人たちなのです。
このブロンズ達こそプロバが求めるハートウォーミングの具現者なのです。このブロンズの向こうには、ひるがえる三色旗が、空に浮かぶ飛行船が眼に見えるようです。
ヒロ・ヤマガタの次の世界・・・それは底抜けに明るいお人好しのブロンズ達。でも、この作品はアメリカ彫刻史の1ページを飾るでしょう。
ヒロ・ヤマガタ
ヒロ・ヤマガタ「アウト・トゥー・ランチ」ブロンズ

KDD(国際電信電話会社・1990年当時)の広告に登場したヒロはこう言っています。「いま一番の楽しみは、ふるさと日本の悪友達と、電話で話すことだ」と。
コマーシャルの分を差し引いても、ヒロの眼がいま、強く市井の人間達にそそがれているのは確かでしょう。

ヒロ・ヤマガタ新作版画

待たれていたヒロの新作が、新しい年の風に乗って、アメリカからプロバへやって来ました。
一点は大作「星を見つめる人(Star Gazar)」です。
なんとタテ140㎝×ヨコ68㎝。額装サイズは各々180㎝×90㎝です。画面いっぱいに広がる満天の星空。
夜というのに、ヒロの発見した世界が、はじける色彩の中で陽気に華麗に唄っています。
もう一点は「冬の日(Winter Day)」。雪の降る公園。八角形の建物をかこむ静かな冬の木立。それらがヒロのもつもう一つのタッチである色を抑えた描写の中に、暖かい情感を漂わせています。

ヒロ・ヤマガタ
ヒロ・ヤマガタ「星を見つめる人(Star Gazar)」シルクスクリーン

ヒロ・ヤマガタ
ヒロ・ヤマガタ「冬の日(Winter Day)」シルクスクリーン




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このページは1990年1月26日にガレリア・プロバから発行された「La Gazzetta vol.3」の内容を掲載したものです。


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