ホアキン・トレンツ・リャド版画WEB美術館
J.トレンツ・リャド「ベルヴェデーレの睡蓮」


ウィーンのベルヴェデーレ宮殿のために造られた偉大な風景は、完璧に敷きつめられた石の隙間から死を発散させている。
それは、孤独を物語る長い独白劇を包み込むために、貴族たちが断固として造り上げた景色なのだ。

私たちが賞賛の眼差しで見るものの影に残っているものは、架空の風景でしかないのだ。
少しの間でも、私達の心に酸素を送り込んでくれる睡蓮が、
慎み深く、か弱く、ひっそりと花開くかのごとくに、外側では痛々しい努力を重ねながら、自然が開けていくのだ。
あらゆる物から切り離された広い敷地の中でよりも、この暗い小さな空間の方に、生命というものは溢れている。

(『J.Torrents Llado vol.3』より)

ベルヴェデーレの睡蓮
Belvedere Nenufares
シルクスクリーン
71.0x71.0(cm)
KATO ART STUDIO/ LA, 1990
サイン:J.トレンツ・リャド